微経験のIT営業向け職務経歴書|SaaS営業経験の見せ方
- 「微経験IT営業」とは何か:実務1〜2年がどんな立場にあるかを整理する
- 採用担当がIT営業の職務経歴書で実際に見ている3つのポイント
- 「受注数が少ない」「技術的な知識が浅い」と感じる人が見落としている書ける材料の探し方
- 微経験IT営業向け例文3つ(SaaS新規営業中心/SI・受託開発営業/インサイドセールス経験あり):よくある薄い書き方から改善後までを示す
- 「技術がわからないまま営業していた」「デモができない」という悩みへの答え
- 書類が通らない人に共通する4つのNGパターンと改善例
「SaaSの営業をしてきたけど、技術的な知識は浅くて、受注数も多くない。IT営業として職務経歴書に書けることがない気がする」という悩みは、IT営業からの転職相談で非常によく出てきます。
IT営業という職種は、会社によって担当する商材・顧客層・営業スタイルが大きく異なります。SaaS・SI・受託開発・IT機器など商材の幅も広く、インサイドセールスのみ・フィールドセールスのみ・両方担当など業務モデルも異なります。この「商材と業務モデルのばらつき」が、微経験IT営業の職務経歴書を「何を書けばいいかわからない」状態にしてしまう最大の原因です。
書類が通らない原因のほとんどは、受注数が少ないことや技術知識が浅いことそのものではなく、「どんな顧客の・どんな課題に・どんな提案をして・どう動いてきたか」を言語化できていないことにあります。採用担当者は「技術が深いか」より「顧客の課題を理解して提案できているか」を見ています。
本記事ではIT営業の実務経験1〜2年を「微経験」と定義し、SaaS営業経験を中心にどう職務経歴書に書けばよいかを解説します。
| ラベル | 定義 | 職務経歴書の主な課題 |
| 未経験 | 実務経験なし | 書けるIT営業経験がない |
| 微経験 | IT営業実務1〜2年 | 受注数が少ない・技術知識が浅い時期の書き方がわからない |
| 経験者 | 実務経験3年以上 | 経験を絞り込む・再現性を示す |
採用担当は何を見ている?微経験IT営業の評価ポイント
| 採用担当者が確認するポイント | 職務経歴書で伝えるべき内容 |
| ①どんな商材を・どんな顧客に・どんなスタイルで営業してきたか | 商材種別・顧客規模・営業モデルをセットで書く |
| ②顧客の課題をどこまで理解して提案できたか | 課題ヒアリングの方法・提案の工夫・失注から学んだことを書く |
| ③行動量と成果の両方を示しているか | 月次アポ数・商談数・提案数と受注数・達成率をセットで書く |
書類が通らない微経験IT営業に共通する3つのパターン
パターン①:「SaaS営業を担当しました」とだけ書いて終わっている
「SaaS製品の法人営業を担当」と書くだけでは、どんな製品を・どんな規模の顧客に・どんな課題を解決するために提案していたのかが伝わりません。
採用担当者が知りたいのは、商材の種別(CRM・MA・HRTech・セキュリティなど)・ターゲット顧客の業種と規模・主に解決していた顧客課題です。
パターン②:受注数だけ書いて「提案の中身」が書かれていない
「受注件数:〇件」と書かれていても、どんな提案をして・なぜ選ばれたのかが伝わりません。IT営業の評価では「何を売ったか」より「どんな課題に・どんな提案で・なぜ選ばれたか」の方が重要な評価材料になります。
パターン③:「技術がわからない」ことを理由に提案内容を書いていない
技術の深さがなくても、「顧客の課題をヒアリングして・自社製品のどの機能が解決するかを説明して・競合との違いを提示した」という営業のプロセスは書けます。「技術が浅いから書けない」ではなく、「どんな提案プロセスで動いていたか」を書く視点に切り替えてください。
書き方のポイント|微経験だからこそ伝えるべき3つのこと
ポイント①:商材・顧客・解決できる課題を冒頭に書く
「SaaSの営業をしていた」ではなく「中小企業向け勤怠管理SaaS(月額制)の新規法人営業。主なターゲットはIT化が遅れている製造業・小売業の人事担当者で、Excelによる勤怠管理の非効率を解決する提案を中心に担当」のように、商材・顧客・解決する課題をセットで書きます。
ポイント②:行動量と提案の工夫をセットで書く
「月次アポ数・商談数・提案数」の行動量と「なぜその提案にしたか・どう顧客課題を引き出したか」の工夫をセットで書きます。Salesforce・HubSpotなど使用SFA/CRMも具体名で書くと技術への親和性が伝わります。
ポイント③:失注分析の経験を書く
「失注した商談を毎回CRMに記録し、失注理由を分類して翌月の提案改善に活かした」という経験は、IT営業として非常に高く評価されます。失注率・失注理由の傾向・改善後の変化をセットで書いてください。
微経験IT営業ならではの悩みに答える
「技術的な知識が浅く、顧客の技術的な質問に答えられなかった」
技術的な質問への回答は、SE・プリセールスと連携して対応するのが一般的です。「技術的な質問はSEに同席してもらう体制を整え、自分は顧客の業務課題のヒアリングとROIの説明に集中した」のように、役割分担を明示したうえで自分が担った部分を具体的に書くことが重要です。
「SaaS営業からSI・受託開発営業に応募したいが、経験が異なる」
SaaS営業で培った「顧客課題のヒアリング力・提案資料作成・CRMでの商談管理」は、SI・受託開発営業でも共通して使えるスキルです。商材は違っても「顧客の課題を整理して最適なソリューションを提案する」という営業の本質は同じです。SaaS営業経験を土台として、SI・受託開発への移行意欲と学習姿勢を自己PRで補足してください。
例文
例①:IT営業(実務1年・SaaS新規営業中心)
HRTech系SaaS企業(従業員70名)にて、中小企業向け勤怠管理SaaS(月額制)の新規法人営業を担当。テレアポからオンライン商談・クロージングまで一気通貫。ターゲット:従業員30〜200名の製造業・小売業。
◆ Before(よくある書き方)
【業務内容】
・SaaS製品の新規法人営業
・テレアポ・商談
・提案書作成
【主な取り組み】
・毎日架電してアポ獲得に取り組みました
◆ After(改善後)
【業務内容】
・中小企業向け勤怠管理SaaSの新規法人営業(月額3〜15万円規模)
・テレアポによるアポ獲得(月次目標:20件、平均達成:16件)
・オンライン商談・デモンストレーション・ROI提案
・Salesforceを使った商談管理・KPI管理・失注分析
【実績】
・受注件数:累計10件(担当期間12ヶ月)
・失注分析を継続した結果、「導入コストへの懸念」が失注理由の約40%を占めることを特定し、ROI試算資料を作成して商談に活用。作成後の成約率が改善
・月次アポ獲得数を入社時の8件から16件に改善(架電スクリプトを業種別に3パターン作成)
【主な取り組み】
失注した商談をSalesforceに毎回記録し、失注理由を「価格・機能・タイミング・競合」の4カテゴリに分類した。「導入コストへの懸念」が最多だったため、3年間のROI試算を可視化した資料を自ら作成して商談に組み込んだ。架電スクリプトは製造業・小売業・サービス業ごとにカスタマイズし、業種ごとの課題感に合わせた言葉で冒頭30秒を変えた。
自己PRでのアピールポイント
失注分析とROI資料の作成など、データと仮説をもとに営業プロセスを改善する姿勢が身についている。Salesforceでのパイプライン管理・KPI管理にも慣れており、次の職場でもIT営業の基礎をさらに発展させたい。
例②:IT営業(実務1年半・SI・受託開発営業)
SIer企業(従業員200名)にて、中堅・中小企業向けシステム開発・ITコンサルティングの提案営業を担当。既存顧客への追加提案と新規顧客開拓の両方を担当。
◆ Before(よくある書き方)
【業務内容】
・システム開発の提案営業
・既存顧客フォロー
・提案書・見積書作成
【主な取り組み】
・顧客との関係を大切にしながら提案活動を行いました
◆ After(改善後)
【業務内容】
・中堅・中小企業向けシステム開発・ITコンサルティングの提案営業(担当顧客数:既存20社・新規開拓5〜8社/月)
・顧客の業務課題ヒアリング・要件整理・SE同席による技術提案
・提案書・見積書・RFP対応資料の作成
・受注後のプロジェクト進捗確認・追加提案(アップセル・クロスセル)
【実績】
・担当既存顧客20社の契約継続率:95%(担当期間18ヶ月)
・既存顧客への追加提案(アップセル):累計8件・受注額合計約1,200万円
・新規顧客開拓:4社(テレアポ→訪問→提案→受注のフル対応)
【主な取り組み】
既存顧客へのアップセルでは、四半期ごとに「現在の業務課題・次期の投資計画」をヒアリングする定例を設け、提案タイミングを逃さない関係を作った。提案書はSEと共同作成し、技術的な実現性と業務改善効果の両方を盛り込む形式に統一した。
自己PRでのアピールポイント
既存顧客との関係を深めながらアップセルを積み重ね、契約継続率95%を維持してきた。SEと連携した技術提案の経験から、技術的な内容を顧客目線でわかりやすく伝える力が身についている。次の職場でも顧客の長期的なパートナーとして提案できるIT営業として貢献したい。
例③:IT営業(実務2年・インサイドセールス経験あり)
セキュリティSaaS企業(従業員150名)にて、インサイドセールスからフィールドセールスへのキャリアパスを歩みながら、中小企業向けエンドポイントセキュリティ製品の営業を担当。
◆ Before(よくある書き方)
【業務内容】
・インサイドセールス・フィールドセールス
・セキュリティ製品の提案
・商談管理
【主な取り組み】
・インサイドからフィールドまで幅広く経験しました
◆ After(改善後)
【業務内容】
・1年目:インサイドセールス(リードへの架電・商談設定、月次200〜250件のリード対応)
・2年目:フィールドセールス(訪問商談・提案・クロージング、担当顧客数:常時15〜20社)
・HubSpotを使ったリード管理・パイプライン管理
・セキュリティリスク診断資料を活用したリスクベースの提案
【実績】
・インサイドセールス時代のアポ獲得率:平均21%(チーム平均14%)
・フィールドセールス移行後の受注件数:14件(移行後12ヶ月)
・インサイドセールス時代に作成した架電スクリプトがチームの標準フォーマットとして採用された
【主な取り組み】
インサイドセールスでは、セキュリティ製品の特性上「今すぐ検討していない」顧客が多いことに気づき、「最近セキュリティインシデントで困ったことはあるか」という問いを冒頭に入れることでニーズを引き出すスクリプトを作成した。フィールドセールス移行後は、セキュリティリスク診断の無料提供を商談の入口にすることで、顧客の課題を可視化してから提案する手法を確立した。
自己PRでのアピールポイント
インサイドからフィールドまで一気通貫でIT営業を経験してきた。スクリプト作成・リスク診断を活用した提案手法など、仕組みで成果を安定させる動き方が強み。次の職場でもセキュリティ・SaaS領域でのIT営業として成果を出し続けたい。
書き方ステップ
ステップ①:商材・顧客・解決する課題を整理する
「何の製品を・誰に・どんな課題を解決するために売っていたか」を一行で書けるように整理します。商材のカテゴリ(SaaS・SI・受託・ITインフラなど)・ターゲット顧客の業種と規模・主に解決していた課題をセットで書き出します。
ステップ②:行動量を3種類の数字で整理する
「担当規模(顧客数・案件数)」「活動量(月次アポ数・商談数・提案数)」「成果(受注数・達成率・ARR貢献額)」の3軸で数字を洗い出します。
ステップ③:失注分析の経験を書き出す
失注した商談の記録・失注理由の分類・改善のために試したこと・改善後の変化を時系列で整理します。これがIT営業の職務経歴書で最も差別化になる材料です。
ステップ④:使用ツールを整理する
Salesforce・HubSpot・Marketo・Zoom・Notion・Slack・提案資料作成ツール(PowerPoint・Canvaなど)を使用期間・目的とともに整理します。
ステップ⑤:「商材・顧客・課題→行動量→提案の工夫→失注分析・改善→成果」の流れで書き直す
NG例 → 改善例|通らない書き方の直し方
失敗①:業務を羅列するだけ
失敗②:受注数だけで提案内容がない
失敗③:経験の浅さを前置きにしてしまう
失敗④:自己PRが抽象的で終わっている
失注した商談をSalesforceに毎回記録し、失注理由を4カテゴリに分類した。「導入コストへの懸念」が最多と判明したためROI試算資料を作成した結果、商談から受注までの期間が平均60日から40日に短縮した。データをもとに仮説を立てて改善する姿勢が身についている。
経験年数別アドバイス
実務経験1年前後
テレアポ・商談設定・提案書作成が中心で、受注数はまだ少ない時期です。実績の数字が少なくても、「月次の行動量(アポ数・商談数・提案数)」「失注分析と改善行動」「提案書の工夫」が1〜2つあれば十分にアピールになります。
実務経験1年半〜2年
受注数も出てきて、提案スタイルが確立されてきている時期です。「行動量と成果のセット」と「失注分析・提案改善の経験」を両方書くことが重要です。インサイドからフィールドへのキャリアパスを歩んでいる場合は、両フェーズの経験を明示してください。
よくある質問
技術的な質問はSE・プリセールスと連携して対応していた事実を書いたうえで、自分が担った「顧客課題のヒアリング・ROI提案・商談リード」の部分を具体的に書いてください。役割分担を明示することで、技術知識が浅くても評価されます。
SFA/CRM(Salesforce・HubSpot・kintoneなど)、MA(Marketo・Pardotなど)、提案資料作成ツール(PowerPoint・Canva)、商談ツール(Zoom・Google Meet)、その他業界特有のツールを使用期間・目的とともに整理して書くと伝わりやすくなります。
SaaS営業で培った顧客課題のヒアリング力・提案資料作成・CRMでの商談管理はSI・受託開発営業でも活かせます。商材の違いを補うために、SI・受託開発の基礎知識(ウォーターフォール・アジャイル・SESとSIの違いなど)を学習中と書くと成長意欲が伝わります。
実務経験1〜2年であればA4で2枚程度が目安です。商材・顧客・行動量・提案の工夫・失注分析・成果をセットで整理すると、自然に読みやすい分量にまとまります。
自己PRの末尾に「中小企業向けSaaS営業での基礎を土台に、より大きな商材・複雑な案件を担当できるIT営業として成長したい」のように、現在の経験の延長として書くと前向きな印象になります。
まとめ
微経験IT営業の職務経歴書で評価されるのは、技術知識の深さや受注数の多さではなく「顧客の課題を理解して・どんな提案をして・どう改善してきたか」です。
- 「微経験IT営業」とはIT営業実務1〜2年。商材・顧客・提案プロセス・失注分析の言語化が鍵
- 「SaaS営業をしていました」だけで終わらせず、商材種別・顧客規模・解決する課題をセットで書く
- 受注数が少ない時期は失注分析と改善行動をセットで書く
- 行動量(アポ数・商談数・提案数)は受注数と同様に重要な実績として書く
- 技術知識が浅くてもSE連携の役割分担を明示することで評価される
- 自己PRは抽象的な表現ではなく、具体的な失注分析と提案改善のエピソードで書く
ショクレキでは、ヒアリングをもとに職務経歴書を一緒に作成するサービスを提供しています。「技術知識が浅くて書けない」「受注数が少なくて不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

