状況別の書き方

法務の職務経歴書の書き方|採用担当が見るポイントと例文

ショクレキ代行
📌 この記事でわかること
  • 採用担当者が法務の職務経歴書で本当に見ているポイント
  • 契約書審査・コンプライアンス・訴訟対応など業務別の書き方
  • 数字が出にくい法務職で「実績」をどう表現するか
  • 書類が通らない法務担当者に共通する失敗パターン
  • 経験年数別(若手・中堅・ベテラン)のアピールポイントの違い
  • NG例・改善例つきで今日から使える書き方を解説

「契約書のレビュー件数は多いのに、それをどう書けばいいかわからない」「法務の仕事は数字で表しにくいから職務経歴書が薄くなってしまう」法務職の転職活動でよく聞く悩みです。法律知識はあっても、自分の経験を採用担当者に伝わる言葉に変換することに慣れていない方がほとんどです。

書類が通らない原因の多くは、「何をしたか」は書けていても「どんな規模で・どんなリスクを扱い・どう解決したか」が見えていないことにあります。採用担当者は職務経歴書を通じて「自社の法務リスクをハンドリングできる人か」を判断しています。

この記事では、法務職が転職活動で使える職務経歴書の書き方を、具体的な例文・NG例・経験年数別のアドバイスとあわせて解説します。

採用担当は何を見ている?

法務の採用担当者が職務経歴書で確認しているのは、主に次の3点です。

観点内容
どの業務領域を担当してきたか契約審査・コンプライアンス・訴訟対応・M&A・知財など、担当領域の幅と深さを確認している
どんな規模・業種の会社で動いてきたか上場企業・スタートアップ・製造業・IT企業など、事業規模と業種によって法務リスクの性質が異なるため重視される
法務として何を守り・何を解決してきたかリスクの特定・契約交渉・トラブル解決など、具体的な貢献内容を見ている

ポイント

採用担当者の視点:「法律知識の有無だけでなく、ビジネスの現場でどう動いてきたかを見ている。契約審査の件数や、どんなリスクをどう処理したかが一言でも書いてあると、実務力のイメージがわく」

よくある失敗(書類が通らない人に共通する3つのパターン)

パターン①:業務の列挙だけで終わっている

「契約書審査・社内法律相談・コンプライアンス研修の実施」と並べるだけでは、採用担当者には実務の深さが伝わりません。どんな種類の契約を・月何件審査し・どんなリスクを発見して対処したかが書かれて初めて、評価の材料になります。

パターン②:資格・知識の記載に偏っている

「弁護士資格取得・宅地建物取引士・ビジネス実務法務検定1級取得」と資格を並べるだけでは、「実務でどう使ってきたか」が伝わりません。資格はスキル欄に記載しつつ、職務経歴のブロックで「その知識をどの業務で活かしたか」をセットで書くことが重要です。

パターン③:専門用語だけで書かれていて読みにくい

法務の職務経歴書に多いのが、法律用語・略語が多用されて採用担当者(人事)に伝わらないケースです。「NDA・秘密保持契約の審査」「M&AのDD(デューデリジェンス)対応」など、略語には補足を入れ、業務の目的・規模も添えることで格段に読みやすくなります。

注意

「法務の実績は数字で出せない」と思っている方へ:審査件数・相談件数・研修参加者数・対応した契約金額の規模など、振り返れば数字になるものは必ずあります。正確な数値でなくても「月平均約30件」「年間契約金額総額約5億円規模」といった概数で十分です。

書き方のポイント|法務ならではの伝え方

ポイント①:担当領域を「業務タイプ」で整理する

法務業務は幅広いため、担当領域を「契約法務」「コーポレート法務」「訴訟・紛争対応」「知財管理」「コンプライアンス」などのタイプに分類して整理すると、採用担当者が一目で把握できます。すべてを同じ比重で書く必要はなく、応募先のニーズに合わせて優先順位をつけましょう。

ポイント②:「規模感」を必ず入れる

法務の仕事は案件の規模によって難易度・責任の重さが大きく異なります。「契約書審査:月平均40件、うち英文契約書が約20%」「M&A案件のデューデリジェンス対応:対象会社売上規模約30億円」のように、規模を示す数字を入れることで、経験の重みが伝わります。

ポイント③:「予防法務」か「紛争対応」かを明確にする

法務の仕事には、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」と、発生したトラブルを解決する「紛争対応」の2軸があります。どちらに重心を置いてきたかを明記することで、応募先が求める人物像との一致を確認しやすくなります。

法務ならではの悩みに答える

「数字で実績を出せないとき、どう書けばいい?」

法務の仕事は「トラブルを防いだ」「リスクを回避した」という成果が数字になりにくいのが実情です。この場合は「件数(審査件数・相談件数)」「規模(契約金額・関係者人数)」「改善(仕組み化・ルール整備)」の3軸で代替できます。例えば「契約審査のチェックリストを整備し、レビュー漏れをゼロに抑えた」「社内法律相談窓口を設けて月平均25件の相談に対応した」のように、行動の規模と成果を組み合わせて書くことで十分にアピールになります。

「弁護士事務所出身で企業法務が未経験の場合、どうアピールする?」

弁護士事務所での経験(契約交渉・訴訟対応・リーガルリサーチ・クライアント対応)は、企業法務に直接活かせるスキルです。「事務所では複数クライアントの案件を同時並行で担当していたため、優先順位管理と迅速な対応力が身についている」「顧問先の業種が幅広く、製造・IT・不動産など多様な業界の法務リスクに対応してきた」といった切り口でアピールすると、企業側のニーズとつながりやすくなります。

例文

例①:契約法務担当(経験3年・若手)

従業員数約300名のITサービス企業にて法務部に所属。1人法務体制の中で契約審査・社内相談対応・規程整備を担当。外部顧問弁護士と連携しながら業務を推進。

【業務内容】
・各種契約書の審査・作成・修正(業務委託契約・NDA・システム開発契約・利用規約など)
・月平均35〜40件の契約審査を担当
・社内各部門からの法律相談対応(月平均15件)
・社内規程の整備・更新(就業規則・情報管理規程など)
・外部顧問弁護士との連携・相談

【実績】
・契約審査のチェックリストを独自に整備し、審査漏れを防ぐ仕組みを構築
・契約テンプレートを12種類作成・導入し、営業部門の契約作成工数を約40%削減
・個人情報保護法改正(2022年)に対応した社内規程の改訂を主導し、全社展開を完了

【主な取り組み】
1人法務だったため、優先順位の判断と外部リソースの活用が不可欠だった。リスクの高い契約(高額・独自条項が多い・海外当事者を含む)を優先してレビューし、標準的な契約はテンプレート化することで対応スピードを上げた。法改正情報は週次でキャッチアップし、影響のある部門に早めに情報共有する習慣をつくった。


自己PRでのアピールポイント
1人法務として幅広い業務を優先順位をつけながら推進してきた経験がある。「リスクを見極めてビジネスを止めない」姿勢を持っており、法務とビジネス部門の橋渡し役として貢献したい。

例②:コーポレート法務・M&A対応(経験7年・中堅)

東証プライム上場メーカー(売上約800億円)の法務部にて勤務。契約法務・コンプライアンス・M&A対応を担当。法務部6名体制のうち、M&A・海外取引を専門に担当するポジション。

【業務内容】
・国内外のM&A案件におけるデューデリジェンス(DD)対応・契約交渉サポート
・英文契約書の審査・交渉(年間約60件、うち英文契約が約30%)
・取締役会・株主総会の準備・運営サポート
・グループ会社(国内5社・海外2社)への法務支援
・コンプライアンス研修の企画・実施(年2回、対象者約500名)

【実績】
・M&A案件(対象会社売上規模約50億円)のDDを主担当として完遂。法務リスクの特定から契約書最終化まで一貫して対応
・英文NDA・業務委託契約の社内標準テンプレートを整備し、英文契約審査の平均所要日数を5日から3日に短縮
・コンプライアンス研修の受講率を前年の78%から95%に改善(eラーニング導入を提案・推進)

【主な取り組み】
M&A案件では外部弁護士(国内・海外)と連携しながら、法務DDの論点整理から経営層への報告まで担当した。特に海外当事者との契約交渉では、準拠法・紛争解決条項の設計に注力し、自社に有利な条件の確保に貢献した。コンプライアンス研修はe-learningを導入することで受講の利便性を高め、全社の受講率向上を実現した。


自己PRでのアピールポイント
M&A・海外取引・コンプライアンスと、コーポレート法務の幅広い領域を実務で担ってきた。英語での契約交渉経験と、グループ全体を視野に入れた法務推進の経験を、次の職場でも活かしたい。

例③:法務部長・管理職(経験15年・ベテラン)

従業員数約1,200名の製造業(東証スタンダード上場)にて法務部長として勤務。法務部8名のマネジメントと、全社の法務戦略立案・推進を担当。

【業務内容】
・法務部8名のマネジメント(目標設定・評価・育成)
・全社の法務リスクマネジメント体制の構築・運用
・取締役会・経営会議への法務レポート・意見具申
・重要契約(年間契約金額1億円以上)の最終レビュー・承認
・外部顧問弁護士・弁理士との関係管理
・子会社・関係会社(国内8社)への法務ガバナンス推進

【実績】
・契約管理システム(LegalForce)を導入・定着させ、契約審査の平均リードタイムを7日から4日に短縮
・法務部のチェック体制を整備した結果、訴訟・クレームに発展した案件数が3年間で年間12件から4件に減少
・グループ会社向けの法務支援体制を構築し、子会社からの法務相談対応件数を年間約200件処理できる体制を整備

【主な取り組み】
法務部が「守りの部門」ではなく「ビジネスの推進力」になることを目標に、事業部門との定期的な法務相談会を月2回設けた。事業部門が法務相談を「ハードルの高いもの」と感じないよう、相談のしやすい雰囲気づくりと迅速なレスポンスを徹底した。スタッフ育成では、担当者ごとに専門領域(契約・知財・コンプライアンス)を持たせながら、ローテーションで幅広い業務も経験させる育成方針を取った。


自己PRでのアピールポイント
法務の実務から管理職・部門長まで幅広く経験してきた。「法務をビジネスの武器にする」視点を持ち、経営層と現場の両方と連携しながら組織全体の法務力を高めてきた経験を活かしたい。

書き方ステップ

① これまでの担当業務(契約審査・相談対応・訴訟・M&Aなど)をすべて書き出す(アピールになるかは後で考える)

② 数字になるものを探す(審査件数・相談件数・契約金額規模・研修参加者数・対応した案件数など概数でOK)

③ 業務内容・実績・主な取り組みの3ブロックに分けて整理する(業務内容は「何をしたか」、実績は「規模と結果」、主な取り組みは「なぜその結果が出たか・どう判断したか」)

④ 応募先の業種・法務体制・求める人物像に合わせてアピール軸を絞り込む(1人法務なら「幅広い対応力」、大企業なら「専門性の深さ」を前面に出す)

NG例 → 改善例|通らない書き方の直し方

失敗①:業務の列挙で終わっている

NG

契約書の審査、社内相談への対応、コンプライアンス研修の実施などを担当していました。

改善後

300名規模のIT企業にて1人法務として、月平均40件の契約審査・15件の社内法律相談・社内規程の整備を担当。契約テンプレート12種類を整備し、営業部門の契約作成工数を約40%削減した。

失敗②:資格の列挙で終わっている

NG

ビジネス実務法務検定1級・宅地建物取引士・個人情報保護士を保有しています。法律の知識には自信があります。

改善後

ビジネス実務法務検定1級の知識を活かし、契約審査では特に免責条項・損害賠償上限・準拠法の設計に注力。年間約60件の英文契約審査においても、自社リスクの観点から条件交渉を主導した。

失敗③:専門用語の羅列で読みにくい

NG

NDA・SLA・MOUの審査、M&AのDDおよびSPA交渉、IP管理、競争法コンプライアンスを担当。

改善後

秘密保持契約(NDA)・業務委託契約・株式譲渡契約(M&A関連)の審査を担当。M&Aでは対象会社(売上規模約50億円)の法務デューデリジェンスを主担当として完遂し、法務リスクの特定・経営層への報告まで一貫して対応した。

失敗④:自己PRが抽象的で終わっている

NG

法律の知識を活かして会社に貢献してきました。責任感があり、どんな案件にも誠実に取り組んできました。

改善後

「ビジネスを止めない法務」を実践するために、リスクの高低を素早く判断して優先順位をつける習慣が身についている。1人法務として月平均40件の審査をこなしながら、契約テンプレート整備・規程改訂・法改正対応まで並行して推進してきた経験を、次の職場でも活かしたい。

経験年数別アドバイス

経験3年未満(若手・担当者)

「何をどれだけこなしてきたか(件数・規模)」と「どう調べ・どう判断したか(プロセス)」が評価のポイントです。大きな案件の主担当経験がなくても、「上司のレビュー補助として年間100件以上の契約書に目を通した」「法改正のキャッチアップを担当してチームに共有する役割を担った」など、関与した業務の規模と自分の動き方を書くことが重要です。

ポイント

第二新卒・若手法務の方は「法律事務所でのアルバイト経験」「法学部での専門科目・ゼミ内容」も関連する場合は記載してOKです。

経験3〜10年(中堅・専門担当)

専門領域の深さ・英文契約対応の有無・チームへの貢献が評価の軸になります。「担当した案件の規模(契約金額・対象会社の売上規模)」「後輩へのOJT」「外部弁護士との窓口担当」など、個人の専門性とチームへの関与を両方書きましょう。法務系の資格取得状況も必ず記載してください。

経験10年以上(ベテラン・リーダー層)

法務部のマネジメント・法務戦略の立案・経営層との連携経験が最大のアピールポイントです。「スタッフ人数・評価・育成の経験」「法務システムの導入・整備の主導」「訴訟リスクの低減実績」など、組織全体の法務力を高めてきた経験を中心に書きましょう。直近5年以内の情報を重点的に記載し、古い情報は概要にとどめることが読みやすさのポイントです。

よくある質問

Q. 弁護士資格を持っている場合、どう書けばいいですか?

資格欄に「弁護士(○○年登録、第○○期)」と記載したうえで、職務経歴のブロックで「弁護士としてどんな案件を・どんな規模で担当してきたか」を具体的に書きましょう。資格の記載だけでは実務力は伝わりません。

Q. 法務の仕事は守秘義務があるため、案件の詳細が書けません。どうすればいいですか?

クライアント名・案件名は伏せて構いません。「大手製造業向けのM&A案件(対象会社売上規模約50億円)」「IT企業のサービス利用規約整備(ユーザー数約10万人規模)」のように、業種・規模・業務の性質で代替することで採用担当者には十分伝わります。

Q. 英文契約の経験がない場合、不利ですか?

応募先が英文契約対応を必須としている場合は正直に記載し、「現在学習中」と添えましょう。英文契約の経験がなくても、「国内契約の審査件数の多さ」「コンプライアンスや知財など他領域の専門性」でカバーできる場合も多くあります。

Q. 社内法律相談の対応件数は書いた方がいいですか?

書くべきです。「月平均20件の社内相談に対応」は、法務担当者としての対応量と実務の幅を示す重要な情報です。件数が把握できていない場合は「月平均約○件」と概数で記載しましょう。

Q. 1人法務の経験は評価されますか?

高く評価される場合が多いです。1人法務は「契約・相談・規程・コンプライアンス・外部連携」を幅広く担う必要があるため、業務の幅広さと主体的な判断力の証明になります。「1人法務として幅広い業務を優先順位をつけながら推進した」という表現で積極的にアピールしましょう。

まとめ

  • 採用担当者は「担当領域・規模・リスクへの対処」をセットで見ている
  • 契約審査件数・相談件数・契約金額規模など、数字になるものは必ず入れる
  • 「業務内容」「実績」「主な取り組み」の3ブロック構成で書くと読みやすくなる
  • 専門用語には補足を入れ、人事担当者にも伝わる言葉で書く
  • 経験年数に応じて「件数・プロセス」「専門性・英文対応」「マネジメント・戦略立案」を使い分ける
  • NG例に共通するのは「列挙・資格自慢・抽象的な意気込み」の3パターン

法務の経験は正しく書けば必ず評価されます。まずは担当してきた契約の件数・種類・規模を書き出すところから始めてみてください。

梶原
梶原
運営責任者
人事・採用担当として1,000名以上の面接、30社の採用支援に携わった経験をもとに、職務経歴書の作成代行・添削を行っています。 採用側での経験をもとに、評価される書類づくりをサポートしています。「経験はあるのに書類で落ちる」という方に特に支持をいただいています。 これまでのご支援数は370名以上。製造・IT・金融・医療・サービス業など、幅広い業界・職種に対応しております。 職務経歴書の書き方にお悩みの方は、お気軽にご相談ください!
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