理学療法士の職務経歴書の書き方|採用担当が見るポイントと例文
- 採用担当者が理学療法士の職務経歴書で本当に見ているポイント
- 担当患者数・改善率・実施単位数など「数字の出し方」
- 急性期・回復期・生活期ごとの書き方の違い
- 書類が通らない理学療法士に共通する失敗パターン
- 経験年数別(若手・中堅・ベテラン)のアピールポイントの違い
- NG例・改善例つきで「今日から使える」書き方を解説
「業務内容は書けるけど、アピールになっているか自信がない」「病院と施設では職務経歴書の書き方が違うのか」理学療法士の転職活動でよく聞く悩みです。臨床経験は豊富でも、それを文章で伝えることに慣れていない方がほとんどです。
書類が通らない原因の多くは、「何をしたか」は書けていても「どんな成果を出したか」「どういう視点で関わっていたか」が伝わっていないことにあります。採用担当者は職務経歴書を通じて「自施設の患者さんに貢献できる人か」を判断しています。
この記事では、理学療法士が転職活動で使える職務経歴書の書き方を、具体的な例文・NG例・経験年数別のアドバイスとあわせて解説します。
採用担当は何を見ている?
理学療法士の採用担当者が職務経歴書で確認しているのは、主に次の3点です。
| 観点 | 内容 |
| どのステージ(急性期・回復期・生活期)での経験があるか | 応募先の施設形態と経験のマッチングを見ている |
| どんな疾患・患者層を担当してきたか | 整形・脳卒中・呼吸器など、専門性と対応幅を確認している |
| 数字で語れる実績があるか | 担当単位数・患者改善率・退院支援件数など、成果の具体性を見ている |
よくある失敗(書類が通らない人に共通する3つのパターン)
パターン①:「リハビリ業務全般を担当」で終わっている
「入院患者のリハビリを担当していました」という記述では、採用担当者には何も伝わりません。担当単位数・疾患・関わったチームの構成・自分が果たした役割が見えないためです。「何を・どのくらいの規模で・どう取り組んだか」をセットで書くことが基本です。
パターン②:疾患名や手技の羅列で終わっている
「担当疾患:脳梗塞、大腿骨頸部骨折、変形性膝関節症…」「使用する手技:PNF、関節モビライゼーション…」と並べるだけでは、採用担当者にはスキルの実力が伝わりません。どの疾患をどう担当し、どんな成果につながったかを一言添えることで、初めて評価の材料になります。
パターン③:転職理由が自己都合の言葉で書かれている
「給与アップのため」「残業が多かったため」だけでは、応募先へのポジティブな動機が伝わりません。職務経歴書に転職理由は必須ではありませんが、自己PR欄などで「次のステージでやりたいこと」に触れる場合は、前向きな言葉に変換することが重要です。
書き方のポイント|理学療法士ならではの伝え方
ポイント①:担当ステージと疾患を明確にする
「急性期病院にて整形外科・神経内科を担当」「回復期リハビリ病棟にて脳血管疾患・大腿骨骨折を主に担当」のように、ステージと疾患をセットで書くことで、応募先が「自施設の業務と合うか」をすぐに判断できます。
ポイント②:数字を3種類で探す
理学療法士の実績を数字で表すには、「規模(担当単位数・患者数)」「成果(改善率・退院先の内訳)」「変化(施策前後の比較)」の3軸で考えると出しやすくなります。例えば「1日平均12単位を担当」「担当患者の在宅復帰率75%」「退院調整カンファレンスに週2回参加」などが該当します。
ポイント③:チームでの役割を明確にする
理学療法士は多職種連携の中で動く職種です。「医師・看護師・OT・STと連携して退院支援を実施」「ケースカンファレンスにてリハビリ計画を提案」のように、チームの中での自分の役割を書くことで、職場での動き方がイメージしやすくなります。
理学療法士ならではの悩みに答える
「急性期から回復期に転職するとき、何をアピールすればいい?」
急性期で培った「早期離床への対応力」「状態変化への判断スピード」「医師・看護師との密な連携経験」は、回復期施設でも高く評価されます。「急性期で○○を経験してきたからこそ、回復期でも初期評価の精度や状態変化への対応に貢献できる」という流れで書くと説得力が出ます。
「施設・デイサービスへの転職で、病院経験をどう書けばいい?」
病院での「疾患別の評価スキル」「リスク管理の経験」「家族への説明・指導の経験」は、施設系の職場でも直接役立ちます。「病院での経験を活かして、利用者の状態変化を早期に察知し、安全で質の高いケアに貢献したい」という方向性で書くと、施設側のニーズとマッチしやすくなります。
例文
例①:急性期病院(経験3年・担当者レベル)
200床規模の急性期総合病院にてリハビリ科に所属。整形外科・神経内科を中心に、術後早期リハビリから在宅復帰支援まで担当。理学療法士3名体制のチームで動いていた。
【業務内容】
・整形外科術後患者(人工関節置換術・骨折術後など)の早期離床・ADL訓練
・脳卒中患者の急性期評価・基本動作訓練・歩行訓練
・1日平均10〜12単位の個別リハビリを担当
・退院前カンファレンスへの参加・退院先調整への関与
・入院患者向けの自主トレーニング指導・家族への説明
【実績】
・担当患者の在宅復帰率:約70%(病棟全体平均の65%を上回る水準を維持)
・人工膝関節置換術後患者の平均歩行開始日:術後2.5日(病棟平均3.1日から短縮)
・退院調整カンファレンスへの参加率:週2回、年間約100件に関与
【主な取り組み】
早期離床を進めるうえで、医師・看護師との朝の申し送りに毎回参加し、患者の夜間状態を確認してからリハビリ計画を調整するルーティンを定着させた。術後の疼痛状況・バイタル変動を考慮した負荷設定を心がけ、安全な早期離床の実現につなげた。退院前には自宅環境を家族から聴取し、退院後の生活に即した自主トレーニングメニューを作成・指導した。
自己PRでのアピールポイント
急性期特有の状態変化の速さの中で、多職種と連携しながらリスクを管理してきた経験がある。「今日の状態で何ができるか」を毎回判断する習慣が身についており、回復期でも同様の視点を活かした質の高いリハビリに貢献したい。
例②:回復期リハビリ病棟(経験6年・中堅)
120床規模の回復期リハビリ病棟を持つ病院に勤務。脳血管疾患・大腿骨近位部骨折を中心に担当。理学療法士8名体制のうち、チームリーダーとして後輩2名の指導も担当。
【業務内容】
・脳血管疾患・骨折後患者のADL改善・歩行訓練・退院支援
・1日平均15単位の個別リハビリを担当
・週次カンファレンスにてリハビリ計画の立案・発表
・後輩理学療法士2名へのOJT・症例指導
・家屋調査への同行(年間約20件)
【実績】
・担当患者の在宅復帰率:82%(病棟目標の75%を上回る水準を3年連続で達成)
・FIM(機能的自立度評価法)利得:平均28点(病棟平均24点を4点上回る)
・後輩への指導を通じて、担当チームの平均FIM利得が前年比3点改善
【主な取り組み】
回復期では「退院後の生活」を常にゴールに置き、入院初日から退院後の生活環境・家族構成・本人の希望を聴取するスタイルを習慣化した。目標設定を患者本人と一緒に行うことで、リハビリへの意欲が高まるケースが増えた。後輩指導では、症例検討の場を週1回設けて「なぜその介入を選んだか」の根拠を言語化させる習慣をつくった。
自己PRでのアピールポイント
患者中心の目標設定と、数字で結果を振り返る習慣を持っている。リーダー経験を通じてチーム全体の質向上に関わってきた経験を、次の職場でも活かしていきたい。
例③:介護老人保健施設(経験12年・ベテラン)
定員100名規模の介護老人保健施設にて理学療法士として勤務。在宅復帰支援・機能訓練プログラムの立案・管理業務を担当。理学療法士4名・作業療法士2名のリハビリチームを統括するリーダーポジション。
【業務内容】
・短期入所・通所リハビリ利用者の個別リハビリ(1日平均8単位)
・施設全体の機能訓練プログラムの立案・見直し(年2回更新)
・リハビリスタッフ6名のシフト管理・業務調整
・多職種カンファレンス(介護・看護・栄養・相談員)の運営・取りまとめ
・家族説明・ケアプラン会議への参加
【実績】
・担当利用者の在宅復帰率:年間68%(施設目標60%を8ポイント上回る水準を維持)
・機能訓練プログラムの見直しにより、通所利用者の転倒件数が前年比40%減少
・スタッフのリハビリ記録の標準化を主導し、記録作成時間を1人あたり1日約20分短縮
【主な取り組み】
機能訓練の内容が「こなす」ものになっていないか定期的に見直し、利用者の生活動作(立ち上がり・歩行・排泄動作)に直結したメニューへの改善を推進した。転倒防止については、ヒヤリハット記録を月次で集計して傾向分析を行い、個別対応策をケアプランに反映する仕組みをつくった。スタッフ育成では、記録の書き方を統一した上で月1回の症例共有の場を設け、スタッフ全体のアセスメント力向上に取り組んだ。
自己PRでのアピールポイント
臨床スキルだけでなく、チームマネジメント・プログラム設計・多職種連携の運営まで幅広く担ってきた。「現場を動かしながら質を上げる」経験を、次の職場でも管理職・リーダー職として活かしていきたい。
書き方ステップ
① これまでの勤務先・担当ステージ・疾患をすべて書き出す(「アピールになるか」はこの段階では考えない)
② 数字になるものを探す(担当単位数・患者数・在宅復帰率・FIM利得・勉強会発表回数など、思い出せる範囲で概数でOK)
③ 業務内容・実績・主な取り組みの3ブロックに分けて整理する(業務内容は「何をしたか」、実績は「どんな数字が出たか」、主な取り組みは「なぜその結果が出たか」)
④ 応募先のステージ・求める人物像に合わせてアピールポイントを絞り込む(急性期志望なら「早期離床の経験」、施設志望なら「生活期・在宅支援の経験」を前面に出す)
NG例 → 改善例|通らない書き方の直し方
失敗①:業務内容が抽象的で終わっている
失敗②:スキルの羅列で終わっている
失敗③:自己PRが意気込みで終わっている
失敗④:転職理由がネガティブな表現になっている
経験年数別アドバイス
経験3年未満(若手・担当者)
実績の大きさより「どう考えて動いたか」が評価のポイントです。「担当患者が目標を達成したとき、どんな工夫をしたか」「先輩に相談しながら対応を改善したエピソード」など、思考プロセスと学ぶ姿勢を書くことが重要です。
経験3〜10年(中堅・専門担当)
専門性の深さ・後輩指導・チーム内での役割が評価の軸になります。「担当患者のFIM利得」「後輩へのOJT実績」「勉強会・症例検討での発表回数」など、個人の成果とチームへの貢献を両方書くことが重要です。認定理学療法士・専門理学療法士の資格がある場合は必ず記載しましょう。
経験10年以上(ベテラン・リーダー層)
マネジメント経験・組織づくりへの関与・後進育成の実績が重要なアピールポイントになります。「スタッフ人数・シフト管理の経験」「プログラムの立案・改善の主導」「多職種カンファレンスの運営」など、チーム全体を動かしてきた経験を中心に書きましょう。ただし直近5年以内の情報を重点的に記載し、古い情報は概要にとどめることが読みやすさのポイントです。
よくある質問
経験年数が3年未満であれば1〜2枚、5年以上であれば2〜3枚が目安です。読みやすさを優先し、情報を詰め込みすぎないことが重要です。
スキル・資格欄にまとめて記載するのが基本です。認定・専門理学療法士の資格は、職種の専門性をアピールする重要な情報なので、必ず記載しましょう。
「1日平均10〜12単位」「月間約200単位」など、概数で構いません。「約」をつけて書けば問題ありません。
施設側は「病院での医学的知識・リスク管理の経験を持つ人材」を求めていることが多いです。「病院経験を生活期・在宅支援に活かしたい」という前向きな動機として書くことで、キャリアの一貫性が伝わります。
職務経歴書には事実を正直に記載し、「育児休業取得後復職」などの記載でOKです。ブランク中に勉強会参加・自己研鑽を行っていた場合は、一言添えると印象がよくなります。
まとめ
- 採用担当者は「ステージ・疾患・担当規模・成果」をセットで見ている
- 担当単位数・在宅復帰率・FIM利得など、数字になるものは必ず入れる
- 「業務内容」「実績」「主な取り組み」の3ブロック構成で書くと読みやすくなる
- チームの中での自分の役割(連携・指導・カンファレンス)を明記する
- 経験年数に応じて「成長の姿勢」「専門性と指導力」「マネジメント実績」を使い分ける
- NG例に共通するのは「抽象的・羅列・意気込みだけ」の3パターン
書き方の型を知れば、理学療法士の経験は必ず書類で伝わります。まずは担当してきた患者さんのことを思い出しながら、数字を書き出すところから始めてみてください。

