広報の職務経歴書の書き方|例文つきで徹底解説
- 採用担当者が広報の職務経歴書で本当に見ているポイント
- メディア掲載件数・プレスリリース本数・SNSフォロワー数など「数字の出し方」
- 広報・PR・社内広報・IR広報など領域別の書き方のポイント
- 書類が通らない広報担当者に共通する失敗パターン
- 経験年数別(若手・中堅・ベテラン)のアピールポイントの違い
- NG例・改善例つきで今日から使える書き方を解説
「プレスリリースも書いて、メディア対応もして、SNSも運用してきたけど、何をアピールすればいいかわからない」「広報の仕事って数字で表しにくいから、職務経歴書が薄くなってしまう」広報担当者の転職活動でよく聞く悩みです。会社のブランドと信頼を守りながら、幅広い業務を担ってきたにもかかわらず、それを採用担当者に伝わる言葉に変換することに慣れていない方がほとんどです。
書類が通らない原因の多くは、「何をしたか」は書けていても「どんな規模の会社で・どんなメディアを相手に・どんな成果を出したか」が伝わっていないことにあります。採用担当者は広報の職務経歴書を通じて「メディアリレーションを構築できる人か」「会社の情報を戦略的に発信できる人か」を判断しています。
この記事では、広報担当者が転職活動で使える職務経歴書の書き方を、具体的な例文・NG例・経験年数別のアドバイスとあわせて解説します。
採用担当は何を見ている?
広報の採用担当者が職務経歴書で確認しているのは、主に次の3点です。
| 観点 | 内容 |
| どの広報領域を担当してきたか | メディアリレーション・プレスリリース・SNS・社内広報・危機広報・CSR・ブランドPRなど、担当領域の幅と深さを確認している |
| メディアリレーションの実績があるか | 掲載メディアの種類・件数・露出金額換算など、メディアとの関係構築力を示す数字を見ている |
| 戦略的に情報を設計・発信できるか | 何を・誰に・どのタイミングで発信するかを設計してきた経験を確認している |
よくある失敗(書類が通らない人に共通する3つのパターン)
パターン①:「広報業務全般を担当していました」で終わっている
「プレスリリースの作成・メディア対応・SNS運用を担当していました」という記述では、採用担当者には何も伝わりません。どんな規模の会社で・どんなメディアを相手に・年間何件のプレスリリースを・どんな掲載実績につながったかが書かれて初めて、評価の材料になります。
パターン②:業務の列挙で終わっていて成果が見えない
「プレスリリース作成・メディアリレーション・SNS運用・社内報制作・イベント運営」と業務名を並べるだけでは、広報の実力が伝わりません。それぞれの業務の規模(件数・媒体数・フォロワー数)と、自分がどんな成果につなげたかを書くことで初めて評価の材料になります。
パターン③:「関与した」「サポートした」で役割が曖昧になっている
「メディア対応をサポートしました」「プレスリリースの作成に関与しました」という記述では、主導したのか補助したのかが判断できません。「プレスリリースを単独で執筆・配信」「メディアへのピッチングを主担当として実施」のように、自分の役割の深さを明確にすることが重要です。
書き方のポイント|広報ならではの伝え方
ポイント①:担当業務を「対外広報・社内広報・デジタル広報」で整理する
広報の業務は「対外広報(メディアリレーション・プレスリリース・危機広報)」「社内広報(社内報・インナーコミュニケーション)」「デジタル広報(SNS・オウンドメディア・動画)」の3種類に大別されます。どの領域を中心に担ってきたかを整理して書くことで、採用担当者が業務の全体像をつかめます。
ポイント②:メディア掲載実績は「媒体名・件数・露出規模」で書く
「日経新聞・テレビ東京・業界専門誌○誌などに年間約80件の掲載を獲得」「全国紙・テレビ・Webメディアへの露出金額換算で年間約5,000万円相当」のように、掲載媒体の種類・件数・露出規模を具体的に書くことで、メディアリレーションの実力が伝わります。
ポイント③:「戦略的な情報設計」の視点を書く
広報で特に評価されるのは「何を・誰に・どのタイミングで発信するか」を戦略的に設計してきた経験です。「新製品発表に向けて3ヶ月前から段階的な情報露出を設計し、発表当日に全国紙3誌・テレビ2局への掲載を実現」のように、戦略的な情報設計と結果をセットで書くことで、実務力が一気に伝わります。
広報ならではの悩みに答える
「広報の成果は数字で表しにくいと言われるが、どう書けばいい?」
広報の成果を数字で表すには「量(プレスリリース本数・メディア掲載件数)」「質(掲載媒体のリーチ・露出金額換算)」「変化(認知度調査・ブランド調査の前後比較)」の3軸で考えると出しやすくなります。露出金額換算の計算が難しい場合は「全国紙掲載○件・テレビ露出○回・Webメディア掲載○件」のように媒体別に記載するだけでも十分に伝わります。
「危機広報・炎上対応の経験はどう書けばいい?」
危機広報・炎上対応の経験は、適切に書けば強力なアピールポイントになります。ただし「炎上した」という事実よりも「どう対応したか・何を学んだか」の部分を中心に書くことが重要です。「製品回収に伴うメディア対応を主担当として実施し、適切な情報開示と誠実な対応によって消費者・メディアからの信頼回復を実現」のような表現が適切です。
例文
例①:スタートアップ広報担当(経験2年・若手)
従業員数約80名のBtoB SaaSスタートアップにて広報担当(1人広報)として勤務。プレスリリース配信・メディアリレーション・SNS運用・オウンドメディアの運営を担当。
【業務内容】
・プレスリリースの企画・執筆・配信(年間約25本)
・メディアへのピッチング・取材アレンジ・当日対応
・X(旧Twitter)・LinkedInの企業アカウント運用(週5〜8本)
・オウンドメディアの記事企画・外部ライターへのディレクション(月4本)
・展示会・カンファレンスへの出展サポート(年3回)
・広報効果測定レポートの作成(月次)
【実績】
・メディア掲載件数:年間約65件(前年度22件から約3倍に増加)
・日経新聞・Forbes JAPAN・業界専門誌5誌への掲載を初めて獲得
・X(旧Twitter)フォロワー数を800から3,200に増加(1年間)
・プレスリリース配信後の問い合わせ件数が平均8件/本(前年度平均2件/本から4倍に向上)
【主な取り組み】
メディア掲載件数を増やすために、プレスリリースの「ニュース性」の磨き方を見直した。「新機能リリース」という事実の発表だけでなく、「業界のどんな課題を解決するか」という社会的文脈をセットで打ち出す構成に変えたことで、記者の関心を引きやすくなった。記者へのピッチングでは、媒体ごとに「どの読者に・どんな角度で刺さるか」を考えた個別メッセージを送ることを徹底し、レスポンス率が大幅に向上した。
自己PRでのアピールポイント
1人広報として、プレスリリース・メディアリレーション・SNS・オウンドメディアを幅広く担ってきた経験がある。「情報の価値を最大化する発信設計」を実践してきた姿勢を、次の職場でも活かしていきたい。
例②:メーカー広報・PRマネージャー(経験7年・中堅)
従業員数約500名の消費財メーカーにて広報・PR担当として勤務。新製品の発表PR・メディアリレーション・危機広報・SNSブランドPRを担当。広報部4名体制のうち、メディアリレーション・危機広報を専任で担当。
【業務内容】
・新製品発表のPR戦略立案・プレスリリース執筆・メディアブリーフィングの実施
・メディアリレーションの構築・維持(担当記者約150名のデータベース管理)
・危機広報対応(製品不具合・SNS炎上時のステートメント作成・メディア対応)
・広報効果測定(掲載件数・露出金額換算・センチメント分析)の月次レポート
・外部PR会社との連携・ディレクション
・社内の広報窓口として各部門からの問い合わせ・情報提供の一元管理
【実績】
・年間メディア掲載件数:約350件(テレビ・全国紙・Webメディア含む)
・主力製品のリニューアル発表PRで、発表当日にテレビ全国ニュース2局・全国紙4誌・Webメディア約20媒体への掲載を実現
・露出金額換算:年間約2億円相当のメディア露出を獲得
・危機広報対応(製品自主回収)を主担当として実施。適切な情報開示と迅速なメディア対応により、消費者からの問い合わせを2週間以内に通常水準に収束
【主な取り組み】
新製品発表のPRでは、発表の3ヶ月前から「段階的な情報露出計画」を策定した。先行して業界専門誌に独占インタビューを提供し、発表直前にテレビ情報番組へのリーク提供を行い、発表当日に一般向けプレスリリースを配信するという3段階のメディア露出設計が、発表日の大規模露出につながった。危機広報では「24時間以内の初期声明発表」「事実確認→情報開示→再発防止の3ステップ」を社内に徹底し、メディアからの信頼を維持した。
自己PRでのアピールポイント
メディアリレーションの戦略設計から危機広報まで、広報の幅広い領域を実務で担ってきた。「情報を戦略的に設計して最大の露出を生む」視点と「危機時に冷静に対応できる判断力」を次の職場でも発揮したい。
例③:広報部長・コーポレートコミュニケーション統括(経験15年・ベテラン)
東証プライム上場の総合サービス企業(従業員数約3,000名・売上約500億円)にて広報部長として勤務。広報部10名のマネジメントと、全社のコーポレートコミュニケーション戦略の立案・推進を担当。
【業務内容】
・コーポレートコミュニケーション戦略の立案・年間計画の策定・経営陣への報告
・広報部10名のマネジメント(目標設定・評価・育成・採用)
・CEO・経営陣のスポークスパーソン対応・メディアトレーニングの実施
・危機広報マニュアルの整備・危機発生時の対応統括
・ESG・CSRの情報発信・統合報告書のコミュニケーション設計
・外部PR会社3社の選定・管理・ディレクション
【実績】
・コーポレートブランドの認知度調査でブランド好感度が3年間で12ポイント向上(外部調査機関による年次調査)
・年間メディア露出金額換算:約8億円相当を獲得(広報部の年間予算対比で約15倍の露出効果)
・危機広報マニュアルの整備と訓練実施により、危機発生時の初動対応時間を従来の6時間から1時間に短縮
・広報部の育成体制を整備し、全部員が単独でメディア対応・プレスリリース執筆できるレベルに引き上げ(2年間)
【主な取り組み】
コーポレートブランドの強化に向けて「社会的な課題解決への貢献」を軸にしたナラティブ(物語)を設計し、すべての広報活動をこの軸で統一した。単発の製品PRから「会社がどんな社会を目指しているか」を伝えるブランドPRへの転換が、好感度向上につながった。危機広報マニュアルの整備は、過去の危機事例を分類・分析し、「発生シナリオ別の対応フロー」と「メディア向けステートメントのテンプレート」を整備したことで、初動対応の大幅な短縮を実現した。広報部の育成では、実際の記者への取材対応をOJTで経験させるプログラムを設け、全員が実務で自立できる体制をつくった。
自己PRでのアピールポイント
広報の実務から、広報部のマネジメント・コーポレートブランド戦略の立案・危機広報体制の整備まで幅広く担ってきた。「広報を経営戦略の中核に位置づけ、ブランドと信頼を資産として積み上げる」視点を持ち、次の職場でも広報責任者として貢献したい。
書き方ステップ
① これまでの担当業務(メディアリレーション・プレスリリース・SNS・社内広報・危機広報など)と各業務での自分の役割をすべて書き出す
② 数字になるものを探す(プレスリリース本数・メディア掲載件数・SNSフォロワー数・露出金額換算・社内報発行部数など概数でOK)
③ 業務内容・実績・主な取り組みの3ブロックに分けて整理する(業務内容は「何をどの役割で担ったか」、実績は「件数・露出規模・変化の数字」、主な取り組みは「なぜその成果が出たか・どんな戦略を立てたか」)
④ 応募先の会社規模・広報課題・求める人物像に合わせてアピール軸を絞り込む(スタートアップなら「1人広報・幅広い対応力・SNS・ピッチング力」、大企業なら「戦略広報・メディアリレーション・危機広報・マネジメント」を前面に出す)
NG例 → 改善例|通らない書き方の直し方
失敗①:業務内容が抽象的で終わっている
失敗②:業務の列挙で終わっていて成果が見えない
失敗③:役割が「サポートした」で曖昧になっている
失敗④:自己PRが抽象的で終わっている
経験年数別アドバイス
経験3年未満(若手・担当者)
「プレスリリース本数・メディア掲載件数・SNSの数字」と「どんな媒体に掲載されたか」が評価のポイントです。主担当でなくても「プレスリリースの執筆を単独で担当」「メディアへのピッチングを主担当として実施」など、自分が手を動かした部分を具体的に書くことが重要です。
経験3〜10年(中堅・専門担当)
「メディアリレーションの実績・危機広報の経験・PR戦略の立案」が評価の軸になります。「担当した発表案件の規模・露出金額換算・獲得したメディアの種類」を具体的な数字とともに書きましょう。PR会社・メディア出身者は「異業種・事業会社でPR視点を活かす」という転職動機も合わせて記載してください。
経験10年以上(ベテラン・リーダー層)
広報部のマネジメント・コーポレートブランド戦略の立案・危機広報体制の整備・経営陣との連携が最大のアピールポイントです。「部員数・ブランド好感度の改善・露出金額換算・危機対応実績」など、組織全体の広報力を高めてきた実績を中心に書きましょう。直近5年以内の情報を重点的に記載し、古い情報は概要にとどめることが読みやすさのポイントです。
よくある質問
PR会社での「複数クライアントへのPR提案・実行経験」「メディアリレーションの幅広さ」「プレスリリースのライティング力」は、事業会社の広報でも直接活きます。「1社の広報として中長期的なブランド構築に関わりたい」という転職動機を明確に書きましょう。
露出金額換算の計算が難しい場合は、「全国紙掲載○件・テレビ露出○回・Webメディア掲載○件」のように媒体別の件数で記載するだけでも十分に伝わります。露出金額換算は「掲載面の広告単価×掲載面積(もしくは秒数)」で概算できます。
積極的に書くべきです。危機広報・炎上対応の経験は、多くの企業が求める希少なスキルです。「どんな危機に・どう対応し・どんな結果になったか」を「会社名・案件名を伏せた形」で書きましょう。
評価されます。社内広報は「従業員エンゲージメント」「カルチャー形成」「組織変革のコミュニケーション支援」など、企業が重視するテーマに直結する業務です。「社内報の発行部数・閲覧率・満足度スコア」など数字を合わせて書きましょう。
経験年数が3年未満であれば2枚、5年以上であれば2〜3枚が目安です。担当業務の種類・メディア掲載実績・プレスリリース本数など広報の核心情報を優先して記載しましょう。
まとめ
- 採用担当者は「担当業務の種類・メディア掲載実績・戦略設計の経験・役割の深さ」をセットで見ている
- プレスリリース本数・メディア掲載件数・露出金額換算・SNSフォロワーなど、数字になるものは必ず入れる
- 「関与した」「サポートした」ではなく「主担当として企画・実施した」という表現で役割を明確にする
- 「何を・誰に・どのタイミングで発信するか」の戦略設計の視点を自己PRで伝える
- 経験年数に応じて「件数・媒体の幅・ピッチング力」「PR戦略・危機広報・露出規模」「マネジメント・ブランド戦略」を使い分ける
- NG例に共通するのは「抽象的・列挙・役割の曖昧さ・数字のなさ」の4パターン
広報の経験は正しく書けば必ず評価されます。まずは担当してきたプレスリリースの本数・メディア掲載件数・SNSの数字を書き出すところから始めてみてください。

