20代グラフィックデザイナーの職務経歴書|転職成功のポイントと例文
- 20代グラフィックデザイナーが採用担当者に評価される職務経歴書の書き方
- 制作実績が少なくても「即戦力候補」として見せる方法
- 制作本数・使用ソフト・クライアント規模を数字で伝えるコツ
- ポートフォリオと職務経歴書の正しい使い分け
- 経験年数別(1〜2年・3〜4年・5年前後)の書き方の違い
- NG例・改善例つきで今日から使える例文
「デザインの実力はあるのに、職務経歴書に何を書けばいいかわからない」「ポートフォリオで見てもらえれば伝わるのに、書類で落とされてしまう」20代グラフィックデザイナーの転職活動でよく聞く悩みです。
20代の転職市場では「経験の深さ」より「成長の速さ」と「制作への姿勢」が評価されます。しかし多くの20代が「まだ大した実績がない」と思い込み、情報量が少ない職務経歴書を提出してしまっています。
採用担当者が20代グラフィックデザイナーに期待しているのは「完成されたデザイナー」ではありません。「制作への真摯な姿勢」「短期間での成長スピード」「クライアントの要件を理解して形にする力の素地」です。この3点を職務経歴書で伝えられれば、経験が浅くても十分に評価されます。
採用担当は何を見ている?
20代グラフィックデザイナーの採用担当者が職務経歴書で確認しているのは、主に次の3点です。
| 観点 | 内容 |
| どんな媒体・分野の制作を担当してきたか | 印刷物・Web・SNS・パッケージ・ブランディングなど、担当してきた媒体の種類と制作本数を確認している。20代では幅広い媒体経験より「この媒体なら任せられる」という得意領域があることの方が評価されやすい |
| ソフト・ツールの習熟度があるか | Adobe Illustrator・Photoshop・InDesignなどの使用経験と習熟度を確認している。ツール名を羅列するだけでなく「どんな制作物でどう使ったか」を書くことで実務レベルが伝わる |
| 制作の意図・プロセスを言語化できるか | 「なぜそのデザインにしたか」を言葉で説明できるかを見ている。20代では完成物の質だけでなく「デザインの思考プロセス」が評価につながる |
よくある失敗(書類が通らない人に共通する3つのパターン)
パターン①:「グラフィックデザイン全般を担当していました」で終わっている
「広告代理店でグラフィックデザインを担当してきました」という記述では、採用担当者には何も伝わりません。どんな媒体を・月何本・どんなクライアントの・どんな目的で制作してきたかが書かれて初めて、評価の材料になります。
パターン②:ツールの羅列で終わっていて実務レベルが伝わらない
「Illustrator・Photoshop・InDesign・After Effects・Figma使用可」と並べるだけでは、実際にどんな制作物でどの程度使えるかが判断できません。「Illustratorを使った雑誌広告(全15段・A4見開き)を月平均8本担当」のように、ツールと制作物をセットで書くことが重要です。
パターン③:ポートフォリオに頼りすぎて職務経歴書が薄い
「ポートフォリオをご覧ください」だけでは採用担当者は何も判断できません。職務経歴書には「どんな会社で・どんな規模の仕事を・月何本こなしてきたか」という制作の文脈を書き、ポートフォリオで実際の成果物を補完する構成が正しい使い分けです。
書き方のポイント|20代グラフィックデザイナーならではの伝え方
ポイント①:制作媒体・クライアントの業種・月間制作本数を冒頭に明記する
「食品・日用品メーカー向けの雑誌広告・交通広告・POPデザインを月平均15本担当。クライアント:大手食品メーカー・日用品メーカーを中心に年間約20社」のように、制作媒体・クライアント層・制作量を冒頭に書くことで採用担当者が業務のスケールをつかめます。
ポイント②:「制作の意図・プロセス」を主な取り組みブロックに書く
20代で差がつくのは「なぜそのデザインにしたか」の言語化力です。「ターゲット層(30〜40代女性)のインサイトを起点にカラートーン・フォント・レイアウトを設計した」「クライアントのブランドガイドラインを厳守しながら、限られたスペースで商品の魅力を最大化する構成を考えた」のような制作の思考プロセスを書きましょう。
ポイント③:成長の軌跡を時系列で書く
「1年目:補助として制作に参加。2年目:クライアントワークを単独で担当。月間制作本数が5本から15本に増加」のように、入社時からの変化を書くことで成長スピードが伝わります。
20代グラフィックデザイナーならではの悩みに答える
「制作会社とインハウスデザイナー、どちらの経験が有利か」
制作会社では「制作量の多さ・スピード感・多様なクライアントへの対応経験」がアピールポイントになります。インハウスでは「特定ブランドへの深い理解・ブランドガイドラインの運用経験・マーケティングとの連携経験」が強みになります。どちらも優劣はなく、転職先が求める環境に合わせてアピール軸を変えることが重要です。
「ポートフォリオがない・守秘義務があって作品を見せられない場合は?」
守秘義務がある場合は「個人制作・自主制作の作品」でポートフォリオを補完しましょう。職務経歴書には「制作の種類・規模・担当範囲」を詳しく書き、ポートフォリオでは自主制作を中心に見せる構成が有効です。
例文
例①:広告制作会社グラフィックデザイナー(経験1年半・第二新卒)
中堅広告制作会社(従業員数約80名)にてグラフィックデザイナーとして勤務。食品・飲料・日用品メーカーを中心とした雑誌広告・交通広告・POP・チラシのデザインを担当。月平均10本の制作物を担当。
【業務内容】
・雑誌広告(全段・半段・1/4段)・交通広告(電車中吊り・駅貼り)のデザイン
・食品・日用品向けPOP・店頭販促ツール(A4〜B0サイズ)のデザイン・入稿
・Adobe Illustrator・Photoshopを使った制作・入稿データ作成
・印刷会社との色校正対応・入稿管理
・先輩デザイナーのアシスタントとしてレイアウト修正・素材整理
【実績】
・1年半での累計制作本数:約180本
・入社6ヶ月から担当クライアント1社を単独で担当(雑誌広告シリーズ・年間約50本)
・入稿ミスゼロを1年間継続(入稿前チェックリストを自主作成・運用)
【主な取り組み】
担当クライアントの雑誌広告シリーズでは、商品ターゲット(30〜40代女性)のライフスタイルを起点にカラートーンとフォントを選定した。単に「きれいに見せる」ではなく「売り場で手に取ってもらえるか」という視点でレイアウトを設計する習慣をつけた。入稿チェックリストは先輩からのフィードバックを蓄積して独自に整備し、ミスゼロを継続する体制をつくった。
自己PRでのアピールポイント
制作量をこなしながら「なぜこのデザインか」を常に言語化する習慣が身についている。入稿まで一人で担当できる実務力と、クライアントの要件をビジュアルに落とし込む力を次の職場でも活かしたい。
例②:インハウスデザイナー(経験3年・中堅手前)
従業員数約300名のEC企業のデザインチーム(4名体制)にてインハウスグラフィックデザイナーとして勤務。自社ECサイトのバナー・SNS広告クリエイティブ・カタログ・パッケージデザインを担当。月平均30本の制作物を担当。
【業務内容】
・ECサイト用バナー・LP用ビジュアルのデザイン(PC・スマートフォン両対応)
・SNS広告クリエイティブ(Instagram・Facebook・Twitter)の制作・ABテスト用バリエーション作成
・季節カタログ(年4回発行・32〜64ページ)のデザイン・入稿
・自社商品パッケージデザインのリニューアル補助(3商品)
・デザインシステムの整備・コンポーネント管理(Figma使用)
【実績】
・3年間の累計制作本数:約1,100本
・SNS広告クリエイティブのABテスト実施:CTR改善率平均+35%(改善前後の比較)
・カタログデザインの作業効率化:テンプレート整備によりデザイン工数を約30%削減
・担当したパッケージリニューアル3商品のうち2商品で発売後3ヶ月の売上が前年比120%以上
【主な取り組み】
SNS広告は「クリエイティブ疲れ」が早いため、毎月のABテスト結果をスプレッドシートで管理し「何がCTR向上につながったか」のパターンを蓄積した。この分析結果をチームで共有し、新規クリエイティブの方向性決定に活用した。カタログのテンプレート化は、毎回一から作っていた繰り返し要素を洗い出してFigmaでコンポーネント化したことで実現した。
自己PRでのアピールポイント
制作量と改善サイクルを同時に回してきた経験がある。「きれいに作る」だけでなく「数字で成果を検証しながら改善する」デザインの姿勢を次の職場でも発揮したい。
例③:制作会社シニアデザイナー(経験5年・20代後半)
大手広告制作会社(従業員数約200名)にてグラフィックデザイナーとして勤務。消費財メーカー・化粧品ブランドを中心とした統合キャンペーンのビジュアル制作を担当。3年目からジュニアデザイナー1名のディレクションも担当。
【業務内容】
・消費財・化粧品ブランドの統合キャンペーン(TV・雑誌・交通・Web・SNS)のビジュアル制作
・ブランドガイドラインの解釈・応用・各媒体への展開
・外部カメラマン・スタイリストとの撮影ディレクション補助
・ジュニアデザイナー1名の制作物レビュー・フィードバック(3年目以降)
・クライアントプレゼン用の提案資料作成
【実績】
・5年間の累計制作物:約600点(雑誌・交通・Web・SNS・POPを含む)
・担当した化粧品ブランドの新商品キャンペーンビジュアルが業界誌で掲載(2回)
・ジュニアデザイナー1名の育成:6ヶ月で単独担当レベルに成長
・クライアント初回提案の採用率:約65%(チーム平均45%)
【主な取り組み】
初回提案採用率を上げるために、ブリーフィング後に「クライアントが言語化できていないニーズ」を仮説として設定し、それに応えるビジュアルを複数パターン用意する習慣をつけた。化粧品ブランドのキャンペーンでは「ターゲットが憧れる世界観」と「商品の機能訴求」のバランスを毎回クライアントと言語化してから制作に入ることで、修正回数が大幅に減少した。
自己PRでのアピールポイント
制作の上流(コンセプト設計・提案)から下流(入稿・品質管理)まで担ってきた経験と、ジュニアデザイナーの育成経験を持つ。クライアントの要件を深く理解した上でビジュアルに落とし込む力を次の職場でも活かしたい。
書き方ステップ
① これまでの制作業務をすべて書き出す
担当した媒体・使用ソフト・クライアントの業種・月間制作本数・入稿まで担当したかどうかを思い出せるだけ書き出します。「アピールになるか」はこの段階では考えなくてOKです。
② 行動量と成長の数字を3種類で探す
制作本数(月平均・累計)、制作物の種類(媒体・サイズ・用途)、変化(入社時と現在の担当範囲の違い・制作スピードの向上)の3軸で数字を探します。正確な値でなくても「月平均約○本」の概数で構いません。
③ 成長の軌跡を時系列で整理する
「入社時:アシスタントとして補助→○ヶ月目:単独担当開始→現在:○○を主担当」のように、入社時から現在までの担当範囲の変化を整理します。この変化が20代の成長スピードを証明する核心になります。
④ 業務内容・実績・主な取り組みを3ブロックで整理する
「何をしていたか(業務内容)」「どんな成果が出たか(実績)」「なぜそのデザインにしたか・どんな工夫をしたか(主な取り組み)」の3ブロックに分けて整理します。制作の思考プロセスは主な取り組みブロックに書く、という切り分けを意識してください。
⑤ ポートフォリオURLを必ず記載し、職務経歴書との役割を分ける
職務経歴書には「制作の文脈(規模・媒体・担当範囲)」を書き、ポートフォリオには「実際の成果物」を掲載する役割分担を意識します。ポートフォリオURLを冒頭または末尾に必ず記載してください。
NG例 → 改善例|通らない書き方の直し方
失敗①:担当媒体・制作量が書かれていない
失敗②:ツールの羅列で終わっている
失敗③:制作の意図が書かれていない
失敗④:ポートフォリオへの言及だけで職務経歴書が薄い
経験年数別アドバイス
経験1〜2年(第二新卒・若手)
「月間制作本数・担当できるようになった媒体の変化・入稿対応の経験の有無」が評価のポイントです。制作量が少なくても「入社○ヶ月で単独担当を任された」「入稿まで一人でできるようになった」という変化を書くことで成長スピードが伝わります。
経験3〜4年(中堅手前)
「制作の幅(担当できる媒体・ジャンルの広さ)」と「数字で見せられる改善実績(CTR改善・工数削減・提案採用率)」が評価の軸になります。ツールの習熟度に加えて「デザインがビジネスにどう貢献したか」を書くことで差別化できます。
経験5年前後(20代後半)
「制作の上流(コンセプト設計・提案)への関与」「ジュニアデザイナーへのディレクション・育成経験」「クライアントとの直接折衝経験」が評価の軸になります。30代に近づくにつれ「個人の制作力」だけでなく「チームや組織への貢献」が求められ始めます。
よくある質問
グラフィックデザインで培った「ビジュアル表現力・タイポグラフィ・カラー設計」はUI/UXデザインでも活きます。Figmaへの習熟・プロトタイプ作成・ユーザーテストへの参加など、UI/UX領域の学習実績を合わせてアピールしましょう。
受賞歴がなくても問題ありません。月間制作本数・提案採用率・クライアントからの評価など、日々の制作の中から数字を拾うことで実力を証明できます。
Behance・Adobe Portfolio・Notionなどが一般的です。URLを職務経歴書に記載できる形式であれば問題ありません。パスワード保護が必要な場合はパスワードも一緒に記載してください。
2枚が目安です。ポートフォリオURLを必ず記載し、職務経歴書は制作の文脈と担当範囲の言語化に特化しましょう。
まとめ
- 採用担当者は20代に「完成されたデザイナー」より「制作への姿勢と成長スピード」を求めている
- 担当媒体・クライアントの業種・月間制作本数を冒頭に明記する
- ツールの羅列ではなく「どんな制作物でどう使ったか」をセットで書く
- 「なぜそのデザインにしたか」の思考プロセスを主な取り組みブロックに書く
- 成長の軌跡(入社時→現在の担当範囲の変化)を時系列で書く
- ポートフォリオURLを必ず記載し、職務経歴書と役割を使い分ける
20代グラフィックデザイナーの経験は正しく書けば必ず評価されます。まずは担当してきた媒体・月間制作本数・使用ソフトを書き出すところから始めてみてください。

