作業療法士の職務経歴書の書き方|採用担当が見るポイントと例文
- 採用担当者が作業療法士の職務経歴書で本当に見ているポイント
- 担当患者数・FIM利得・ADL改善率など「数字の出し方」
- 急性期・回復期・生活期・精神科・在宅など職場別の書き方
- 書類が通らない作業療法士に共通する失敗パターン
- 経験年数別(若手・中堅・ベテラン)のアピールポイントの違い
- NG例・改善例つきで今日から使える書き方を解説
「毎日患者さんのリハビリを担当してきたのに、職務経歴書に何を書けばいいかわからない」「理学療法士と作業療法士の違いをどうアピールすればいいか」作業療法士の転職活動でよく聞く悩みです。患者さんの「作業」を通じた生活の再構築を支えてきた経験は確かな実力なのに、それを採用担当者に伝わる言葉に変換できていない方がほとんどです。
この記事では、作業療法士が転職活動で使える職務経歴書の書き方を解説します。
採用担当は何を見ている?
作業療法士の採用担当者が職務経歴書で確認しているのは、主に次の3点です。
| 観点 | 内容 |
| どのフィールド・疾患領域での経験があるか | 急性期・回復期・生活期・精神科・発達障害・在宅・老健・訪問など職場種別と、担当した疾患・対象者層を確認している |
| OTとしての専門的な介入の幅と深さ | ADL訓練・IADL訓練・高次脳機能評価・上肢機能訓練・自助具作製・環境調整・認知症ケア・精神科作業療法など、担当できる業務の幅を見ている |
| チームでの役割・改善への関与 | 多職種連携・後輩育成・カンファレンスでの役割・家族指導など、個人の技術力だけでなくチームへの貢献を確認している |
よくある失敗(書類が通らない人に共通する3つのパターン)
パターン①:「作業療法全般を担当していました」で終わっている
「回復期リハビリ病棟でADL訓練・上肢機能訓練・退院支援を担当してきました」という記述では、採用担当者には何も伝わりません。担当患者数・疾患・FIM利得・退院先の内訳が書かれて初めて、評価の材料になります。
パターン②:介入内容の列挙で終わっていて成果が見えない
「ADL訓練・IADL訓練・上肢機能訓練・高次脳機能評価・自助具作製・家屋調査」と列挙するだけでは実力が伝わりません。「担当患者のFIM利得:平均24点(病棟平均18点を上回る水準)」「在宅復帰率:82%(担当患者の退院先が在宅または在宅強化型施設)」のような成果指標を書きましょう。
パターン③:PTとの違い・OT固有の専門性が伝わらない
OTの専門性は「作業(occupation)を通じた介入」にあります。「高次脳機能障害(注意障害・記憶障害)の評価・代償手段の指導」「精神科作業療法での生活技能訓練(SST)」「発達障害児への感覚統合療法」「認知症利用者への回想法・作業活動」など、OT固有の介入内容を具体的に書きましょう。
書き方のポイント|作業療法士ならではの伝え方
ポイント①:施設・病棟種別・担当患者数・主な疾患を冒頭に明記する
「200床規模の回復期リハビリ病棟(脳血管疾患・運動器疾患を主に担当)にてOTとして勤務。常時担当患者数:約15名。OT4名体制」のように書きましょう。
ポイント②:OT固有の介入内容と成果指標を書く
「担当患者のFIM利得:平均24点(病棟平均18点)」「在宅復帰率:82%」「高次脳機能評価(BIT・TMT・MMSE・IADL評価)の主担当として年間約80件実施」「自助具作製:累計30件(片手調理自助具・書字補助具など)」のように、OT固有の介入と成果を書きましょう。
ポイント③:家族指導・退院支援・多職種連携を書く
「家屋調査(年間約15件)の主担当として実施し、退院後の環境整備提案を実施」「多職種カンファレンス(医師・PT・ST・MSW・看護師)での退院先決定に関するOTの見立ての報告を担当」など、OTとしての退院支援・多職種連携を書くことで全体的な実力が伝わります。
作業療法士ならではの悩みに答える
「身体障害から精神科・発達障害へのキャリアチェンジを考えている場合は?」
身体障害OTでの「ADL評価・代償手段の指導・環境調整」の経験は、精神科・発達障害領域でも活かせる基礎力です。精神科・発達領域への学習実績(研修参加・資格取得)と合わせてアピールしましょう。
「在宅訪問OTへの転職で何をアピールすればいい?」
病院での「退院支援・家屋調査・IADL訓練・家族指導の経験」は在宅OTで直接活きます。「患者さんの生活全体を支援する在宅OTとして貢献したい」という明確な動機と合わせてアピールしましょう。
例文
例①:回復期OT(経験3年・若手)
200床規模の回復期リハビリ病棟(脳血管疾患・運動器疾患が主)にてOTとして勤務。常時担当患者数:約15名。OT4名体制、夜間・休日のオンコール対応なし。
【業務内容】
・上肢機能訓練(片麻痺・腱板損傷術後など)
・ADL訓練(整容・更衣・食事・入浴・排泄)・IADL訓練(調理・家事動作)
・高次脳機能評価(MMSE・HDS-R・BIT・TMT)・代償手段の指導
・自助具作製(片手調理自助具・書字補助具など)・装具・福祉用具の選定補助
・家屋調査(年間約8件)・退院時指導・家族への介助指導
・多職種カンファレンスへの参加・OTの見立てを発言
【実績・取り組み】
・担当患者のFIM利得:平均22点(病棟平均17点を上回る水準を継続)
・在宅復帰率:78%(担当患者の退院先が在宅または在宅強化型施設)
・高次脳機能障害患者のスマートフォンを活用した代償手段指導を実践し、退院後の生活自立に貢献
・調理自助具を独自に作製・改良し、片麻痺患者5名が退院後も継続使用
自己PRでのアピールポイント
回復期でのADL・IADL・高次脳機能への幅広い介入経験と、在宅復帰を見据えた退院支援の実績がある。「生活に戻るためのOT」を実践してきた姿勢を次の職場でも発揮したい。
例②:精神科OT・リーダー(経験8年・中堅)
精神科病院(入院病床200床・デイケア30名定員)にてOTリーダーとして勤務。統合失調症・うつ病・双極性障害・認知症を主に担当。OT3名体制のリーダーとして後輩育成も担当。
【業務内容】
・精神科作業療法(個別・集団):統合失調症の生活技能訓練(SST)・うつ病の活動量調整・認知症の回想法・作業活動
・社会生活技能訓練(SST)の個別・集団実施
・デイケアプログラムの企画・運営(週5日・定員30名)
・リワークプログラムの実施補助(復職支援)
・OTリーダーとして後輩OT2名のスーパービジョン・症例指導
・多職種カンファレンス(精神科医・看護師・PSW・薬剤師)への参加
【実績】
・デイケアの年間利用継続率:88%(リーダー就任後に75%から改善)
・SST実施件数:年間約120件(個別・集団の合計)
・リワーク支援:担当期間中に復職につながったケース:8名
・後輩OT2名のスーパービジョンを通じ、両名が独立して症例担当できるレベルに成長
自己PRでのアピールポイント
精神科OTとしての専門的介入実績とリーダーとしての後輩育成経験を持つ。「作業を通じて生活の質と社会参加を支援する」OTの理念を実践してきた姿勢を次の職場でも発揮したい。
例③:訪問OT・在宅支援専門(経験12年・ベテラン)
訪問リハビリ事業所(OT4名・PT2名体制)にてOTリーダーとして勤務。在宅高齢者・退院後の脳血管疾患・神経難病患者を主に担当。常時担当件数:約40件。
【業務内容】
・在宅訪問OT(脳血管疾患後遺症・パーキンソン病・認知症・骨折術後など)
・IADL訓練(調理・家事・外出・公共交通利用)・環境調整(住宅改修提案)
・認知症利用者への介入(回想法・作業活動・BPSD軽減への環境設定)
・家族への介護技術指導・負担軽減のための環境整備提案
・多職種カンファレンス(ケアマネ・訪問看護・主治医)への参加・OTとしての意見を発言
・OTチームリーダーとして後輩OT2名の指導・スーパービジョン
【実績】
・担当利用者40件の在宅継続率:92%(担当期間3年間の平均)
・住宅改修提案:年間約15件実施し、転倒リスクの高い利用者の転倒件数を削減
・認知症利用者のBPSD軽減:作業活動・環境設定の工夫により、担当10名中8名でBPSD症状の改善を確認(家族・ケアマネからの評価)
・後輩OT2名のスーパービジョンを通じ、独立して困難ケースを担当できるレベルに育成
自己PRでのアピールポイント
訪問OTとして在宅での生活支援・IADL訓練・環境調整・家族指導・多職種連携を一気通貫で担ってきた。「在宅でその人らしく生きる」ことを支えるOTの実践経験を次の職場でも活かしたい。
書き方ステップ
① 職場種別・担当患者数・主な疾患・OT固有の介入内容をすべて書き出す
② 数字になるものを探す(FIM利得・在宅復帰率・担当患者数・家屋調査件数・後輩指導人数など)
③ OT固有の介入(高次脳機能評価・自助具作製・SST・IADL・認知症ケア)と成果をセットで整理する
④ 応募先の職場種別・対象者層に合わせてアピール軸を絞り込む
NG例 → 改善例|通らない書き方の直し方
失敗①:介入内容の列挙で終わっている
失敗②:PTとの違い・OT固有の専門性が伝わらない
失敗③:退院支援・多職種連携の実態が伝わらない
失敗④:資格・専門研修の記載がない
経験年数別アドバイス
経験3年未満(若手・担当者)
「担当患者数・疾患・OT固有の介入内容・FIM利得などの成果指標」が評価のポイントです。
経験3〜10年(中堅・専門担当)
「OT固有の専門領域(高次脳機能・精神科・発達障害・在宅)の深さ」「後輩育成・リーダー経験」「多職種連携での主体的な役割」が評価の軸です。
経験10年以上(ベテラン・リーダー層)
OTチームのマネジメント・専門領域の確立・地域連携・後進育成統括が最大のアピールポイントです。
よくある質問
福祉用具専門相談員・住宅改修アドバイザー・障害者就労支援など、OTの知識・スキルが活きる周辺職種への転換は可能です。
「担当患者のFIM利得:平均約○点(病棟平均○点を上回る水準)」など概数・相対値での表現で構いません。
1〜2枚が目安です。担当患者数・疾患・OT固有の介入・成果指標・資格を優先して記載しましょう。
まとめ
- 採用担当者は「職場種別・担当患者数・疾患・OT固有の介入内容・FIM利得・在宅復帰率」をセットで見ている
- ADL訓練だけでなく「高次脳機能評価・自助具作製・IADL・精神科作業療法・認知症ケア」などOT固有の専門性を書く
- FIM利得・在宅復帰率・家屋調査件数など成果指標を数字で書く
- 認知症ケア専門士・感覚統合療法・福祉住環境コーディネーターなどの資格・研修は必ず記載する
- 経験年数に応じて「OT固有の介入実績」「専門領域の深さとリーダー経験」「マネジメントと地域貢献」を使い分ける

